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人口が500万人に満たない北欧の一国:ノルウェーの一つの才能が世界へ届く前に。(1)

 まずアルバムに耳を傾ける前に。

僕は元来レコード・ショップのいちスタッフであるからして、音楽ライターのように文章でバランスよくこのクリスチャン・ヴァレンの魅力やバイオをお伝えできないことにご了承いただきつつ、僕がKRISTIAN VALENに出会って、感じたことを聞いていただきたい。

 あなたがこのクリスチャン・ヴァレンを知ったきっかけは、このCDを手に取ったのは、「If I Was」や「Still Here」のビデオクリップ。ハリウッド仕込みのような映像と彼のストーリー・テラー振りに惹かれたからだろうか?それともラジオから流れる音に?またはショップの試聴機からだろうか。

偶然が重なった彼の音楽との出会いは、あなたにかけ甲斐の無いものになるはず。なぜなら80年代、A-HAから続くポピュラー音楽を世界に輸出し続けるノルウェーにおいて近年も活躍が目覚しいROYKSOPPやSONDRE LERCHEらの流れに続く逸材がこのクリスチャン・ヴァレンであるからだ。彼の音楽がJAMES BLUNTやDANIEL POWTERに代表される、ピアノやアコースティックな楽器を使いナチュラルに自分を表現する男性シンガー・ソング・ライターの肌感覚に近いこともあり、彼もその流れで「NEXT…」と揶揄されそうだが、盛り上がっては終わる今のシーンの流れにも動じない経験に裏打ちされた実力を持つ彼。2007年は彼の才能が多くの国の人々の心を捉えて離さない年になりそうだ。強力なカリスマを持ったアーティストの出現を待つよりは一人の人生に強く共感する音楽にこうやって出会えればいいわけだから。

僕がクリスチャン・ヴァレンを紹介されたのはオフィスの会議室。資料と映像ともにすべての音源を前にして、レーベル【スーパーソニック】の制作担当者からだ。彼は今までもEphemeraやそのメンバーChristine Sandtorvのソロ・アルバムを日本に紹介し、スカンジナビア半島/北欧のポピュラー音楽を中心に見識が広く、また日本で音楽が伝わる仕組みに関しても造詣が深い。それは音楽を提供する媒介者として「華」の部分では無く、その中で一番重要な裏方の地道な労力を惜しまない人という印象。なので、僕とのやり取りにはお互いの役割の難しさを理解しつつ、妙に話がスムーズにできてしまう数少ない中の一人なのだ。「伝えたい」という熱はもちろん中心におきつつも普段は現実的な話で終わってしまいがちなのだが…。

しかし、今回においては彼の鼻息も荒く…クリスチャン・ヴァレンの場合はちょっと違ったのだ。もちろん話し合いをしながら、その場を満たしていた彼の素晴らしい音世界と硬く高音が抜けた綺麗な声に魅了されつつ、レーベルの担当者もリテイラーである僕も、お互いプライドをかけて多くのリスナーに伝えていかないと駄目でしょう!?ということで盛り上がっていたのなら話は簡単なのだけれど、僕らが音楽と同様に惹かれている何かは、彼・KRISTIANの元々の仕事にも関係があるようだ。

CD解説 『Listen When Alone / ある男の物語』 / 福田 誠

日時: 2007年03月23日 16:59
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